乗客の咳に息止む電車かな
湯気立てて馬疾く行くや寒四郎
性空の身に書写纏う紙衣かな
尾長にも道心ありや木守柿
九年母に虚しう爪を立ててをり
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じょうきゃくの せきにいきとむ でんしゃかな
ゆげたてて うまとくゆくや かんしろう
しょうくうの みにしょしゃまとう かみこかな
おながにも どうしんありや こもりかき
くねんぼに むなしゅうつめを たてており
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~ a passenger is coughing
~ without covering his mouse in the train
~ others are holding their breath like skin-diving
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~ four days after the midwinter
~ racehorses are running with steaming
~ at the racecourse in front of a audience
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~ all his life St Shokuh
~ was simply attired himself
~ in the canned-paper-garb of a priest
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~ a custom of gathering fruite all but one
~ for the genius of tree not only farmers
~ but also azure‐winged-magpie mustn’t eat it adringly
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~ ctrus-nobilis have a thick and stiff peel
~ i try to eat and get my claws into it
~ fruitless effort
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〔難読・難解語など〕(『国語大辞典』より)
かんしろう【寒四郎】: 寒の入りから四日目にあたる日。
麦の厄日とされており、この日の天候は、その後の晴雨
または一年の作柄に重大な影響があるという俗信が
あった。
かみこ【紙衣】: 紙で作った衣服。上質の厚くすいた和紙
に柿渋をぬり、何度も日にかわかし、夜露にさらしてもみ
やわらげ、衣服に仕立てたもの。女の手によらないで作る
ことができるので、もと律宗の僧侶が用いたという。はじめ、
布の代用品として広く貴賤の間で用いたが、安価であると
ころからのちには貧乏人が愛用。かみぎぬ。
しょうくう〔性空〕: 平安中期の天台宗の僧。京都の人。通称、
書写上人・悉地菩薩。三六歳で出家し、比叡山の慈慧僧正に
学び、源信、覚運らとともに天台教学をきわめた。のち日向国
(宮崎県)、筑前国(福岡県)の山にはいり、やがて播磨国(兵庫
県)の書写山に留まって円教寺を創建。(九一〇~一〇〇七)
紙衣を着て過ごしたことで有名。
きまもり【木守】: 翌年の豊作を祈って、果樹に一つだけと
り残しておく果実。「こもり」とも。
くねんぼ【九年母】: (「くねんぽ」とも)ミカン科の常緑小高木。
インドシナ原産で、古く中国を経て渡来し、栽培される。幹は
高さ三~五メートルになり、ミカンに似てやや大きく、長さ一〇
センチメートルほどの楕円形の葉を互生する。初夏、枝先に
芳香のある白色の五弁花を開く。果実は径六センチメートル
ぐらいの球形で、秋に熟して橙色になる。表皮は厚く種子が多
いが甘味があり生食される。漢名は橘で香橙は誤用。
香橘(こうきつ)。くねぶ。
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(26nov11)
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