‘The Book of Tea’_ こぼれ話02

book of tea-ikenouchi

こぼれ話02 和敬清寂〔わけいせいじゃく〕

2013-01-19_025044

 もともとは茶道精神を説くための禅語。大応国師が中国から帰朝の折、
台子 (だいす=茶の湯で使う四本柱の棚のこと) とともに伝えた劉元甫著
の『茶堂清規』3巻のなかにある表現。その後、『茶祖伝』(1730刊) に、
大徳寺23世大心義統巨妙子が元禄12(1699)年記の序に、将軍足利義政が、
村田珠光に向かって、茶の何たるかを尋ねたところ「一味清浄禅悦法喜」の
境地であるといい、茶は礼を本義として「謹兮、敬兮、清兮、寂兮(きん
なり、けいなり、せいなり、じゃくなり)」と申し上げた、と書かれてい
る。その後、千利休がこの本を踏まえて、茶道精神として「今茶之道四焉、
能和能敬能清能寂、是利休因茶祖珠光答東山源公文所云(今、茶之道に
四あり、和を能く敬を能く清を能く寂を能くす 利休是れ、茶祖珠光の
東山源公の公文所にて云ふに因る)」として四諦(四規)を茶の湯の根本
に据えたということになっている。ここでは「謹」は「和」に換えられて
いる。それが人口に膾炙された。則ち、茶道で主人と客とは心なごやかに
お互いをうやまい(和=お互いに仲良くすること 敬=お互いに敬いあう
こと)、茶室、茶道具、茶器、茶庭、露地などは清楚・質素を心がけること
(清=見た目だけでなく心の清らかさのこと 寂=質実を重んじ、どんな
ときにも動じない心であること)。

 ちなみに利休はこの「四規」に他に接する場合の心構え「七則」を加え、
「四規七則」として、これも人口に膾炙されている。七則とは「茶は服の
よきように点て、炭は湯の沸くように置き、冬は暖かく夏は涼しく、花は
野にあるように入れ、刻限は早めに、降らずとも雨具の用意、相客に心せ
よ」の七つ。

〔参考〕『茶祖伝』早稲田大学所蔵(写本)
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/wo09/wo09_02229/wo09_02229.html

▼▽▼▽▼ 掲載日 ▼▽▼▽▼  

19jan2013  

About 池ノ内 孝    Takashi (Kou) Ikenouchi
a haiku poet (俳名:秋村 [Shūson]), an actor, pure-Japanese, Tokyo Japan

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